月を望んで遠きを懷う(望月懷遠)

書き下し文

海上、 明月、生じ、

天涯、此の時を共にす。

情人、遙夜を怨み、

竟夕、相思を起こす。

燭を滅して、光の満つるを憐れみ、

衣を披りて、露の滋きを覚ゆ。

手に盈たして、贈るに堪えず、

還り寝ねて、佳期を夢む。

訓読文

望(のぞ)ンデ[レ]月(つき)ヲ懷(おも)フ[レ]遠(とお)キヲ

張(ちょう)九(きゅう)齡(れい)

海(かい)上(じょう)生(しょう)ジ[二]明(めい)月(げつ)[一],

天(てん)涯(がい)共(とも)ニス[二]此(こ)ノ時(とき)ヲ[一]。

情(じょう)人(じん)怨(うら)ミ[二]遙(よう)夜(や)ヲ[一],

竟(きょう)夕(せき)起(お)コス[二]相(そう)思(し)ヲ[一]。

滅(めっ)シ[レ]燭(しょく)ヲ憐(あわ)レミ[二]光(ひかり)ノ満(み)ツルヲ[一],

披(はお)リテ[レ]衣(ころも)ヲ覺(おぼ)ユ[二]露(つゆ)ノ滋(しげ)キヲ[一]。

不(ず)[レ]堪(た)エ[二]盈(み)タシテ[レ]手(て)ニ贈(おく)ルニ[一],

還(かえ)リ寝(い)ネテ夢(ゆめ)ム[二]佳(か)期(き)ヲ[一]。

典籍

唐丞相曲江張先生文集 

参考資料