登高

書き下し文

風急に天高くして、猿嘯哀し。

渚清く沙白くして、鳥飛び廻る。

無辺の落木、蕭蕭として下り、

不尽の長江、滾滾として来たる。

万里悲秋、常に客と作り、

百年多病独り台に登る。

艱難苦だ恨む繁霜の鬢、

潦倒新たに停む濁酒の杯。

訓読文

登(とう)高(こう)

杜(と)甫(ほ)

風(かぜ)急(きゅう)ニ天(てん)高(たか)クシテ猿(えん)嘯(しょう)哀(かな)シ,

渚(なぎさ)清(きよ)ク沙(すな)白(しろ)クシテ鳥(とり)飛(と)ビ廻(めぐ)ル。

無(む)邊(へん)ノ落(らく)木(ぼく)蕭(しょう)蕭(しょう)トシテ下(くだ)リ,

不(ふ)盡(じん)ノ長(ちょう)江(こう)滾(こん)滾(こん)トシテ来(きた)ル。

萬(ばん)里(り)悲(ひ)秋(しゅう)常(つね)ニ作(な)リ[レ]客(かく)ト,

百(ひゃく)年(ねん)多(た)病(びょう)獨(ひと)リ登(のぼ)ル[レ]臺(だい)ニ。

艱(かん)難(なん)苦(はなは)ダ恨(うら)ム繁(はん)霜(そう)ノ鬢(びん),

潦(ろう)倒(とう)新(あら)タニ停(とど)ム濁(だく)酒(しゅ)ノ杯(はい)。

典籍

杜工部詩集 - (明)朱鶴齡

参考資料

  • くらすらん - 国語(古文・漢文・現代文)と語学の関連情報・関連書籍を紹介するブログ nbataro.blog.fc2.com
  • 杜工部詩集 - (明)朱鶴齡(中国語) ctext.org