書き下し文

国、破れて 山河在り、

城、春1にして 草木深し。

時に感じて、花に涙を濺ぎ、

別れを恨んで、鳥に心を驚かす。

烽火 三月に連なり、

家書 万金に抵たる。

白頭掻けば 更に短く、

渾て簪に 勝えざらんと欲す。

訓読文

春(しゅん)望(ぼう)

杜(と)甫(ほ)

國(くに)破(やぶ)レテ山(さん)河(が)在(あ)リ,

城(しろ)春(はる)ニシテ草(そう)木(もく)深(ふか)シ。

感(かん)ジテ[レ]時(とき)ニ花(はな)ニ濺(そそ)ギ[レ]涙(なみだ)ヲ,

恨(うら)ンデ[レ]別(わか)レヲ鳥(とり)ニ驚(おどろ)カス[レ]心(こころ)ヲ。

烽(ほう)火(か)連(つら)[二]ナリ三(さん)月(げつ)ニ[一],

家(か)書(しょ)抵(あた)ル[二]萬(ばん)金(きん)ニ[一]。

白(はく)頭(とう)掻(か)ケバ更(さら)ニ短(みじか)ク,

渾(すべ)テ欲(ほっ)ス[レ]不(ざ)ラント[レ]勝(た)エ[レ]簪(しん)ニ。

典籍

杜工部詩集 - (明)朱鶴齡

参考資料


  1. 「荒れて」ともする。 ↩︎