書き下し文

万木、凍って折れんとす,

孤根、暖かに独り回る。

前村、深雪の裏,

昨夜、一枝開く。

風逓り、幽香、出ず1

禽窺い、素艶、来たる。

明年、律に応ずるが如し2

先発し、春台を望む3

訓読文

早(そう)梅(ばい)

齊(せい)己(き)

萬(ばん)木(ぼく)凍(こお)リテ欲(ほっ)ス[レ]折(お)レント,

孤(こ)根(こん)暖(あたた)カニ獨(ひと)リ回(かえ)ル。

前(ぜん)村(そん)深(しん)雪(せつ)ノ裏(うら),

昨(さく)夜(や)一(いち)枝(し)開(ひら)ク。

風(かぜ)逓(めぐ)リ幽(ゆう)香(こう)出(い)ズ,

禽(とり)窺(うかが)イ素(そ)艶(えん)來(き)タル。

明(みょう)年(ねん)如(ごと)シ[レ]應(おう)ズルガ[レ]律(りつ)ニ,

先(せん)發(ぱつ)シ望(のぞ)ム[二]春(しゅん)台(たい)ヲ[一]。

典籍

唐詩品彙 (明)高棅


白蓮集 《四部叢刊初編》 景上海涵芬樓藏景明鈔本

参考資料

  • 【麻生川語録・22】『一行の書』 blog.goo.ne.jp
  • 唐詩品彙 (明)高棅(中国語) ctext.org
  • 白蓮集 《四部叢刊初編》 景上海涵芬樓藏景明鈔本 ctext.org

  1. 「去る」ともする。 ↩︎

  2. 「猶(なお)」ともする。 ↩︎

  3. 「映ずる」ともする。 ↩︎