春山夜月

書き下し文

春山1、勝事多し、

賞翫して、夜帰るを忘る。

水を掬すれば、月、手に在り、

花を弄すれば、香、衣に満つ。

興来たらば、遠近無く。

芳菲を惜しみ、去かんと欲す。

南に鳴鐘2の処を望めば、

楼台は翠微に深し。

訓読文

春(しゅん)山(ざん)夜(や)月(げつ)

于(う)良(りょう)史(し)

春(しゅん)山(ざん)多(おお)シ[二]勝(しょう)事(じ)[一],

賞(しょう)翫(がん)シテ夜(よる)忘(わす)ル[レ]歸(かえ)ルヲ。

掬(きく)スレバ[レ]水(みず)ヲ月(つき)在(あ)リ[レ]手(て)ニ,

弄(ろう)スレバ[レ]花(はな)ヲ香(かおり)満(み)ツ[レ]衣(ころも)ニ。

興(こう)来(きた)ラバ無(な)ク[二]遠(えん)近(きん)[一],

欲(ほっ)ス[四]去(ゆ)カント[三]惜(お)シミ[二]芳(ほう)菲(ひ)ヲ[一]。

南(みなみ)ニ望(のぞ)メバ[二]鳴(めい)鐘(しょう)ノ處(ところ)ヲ[一],

樓(ろう)臺(だい)ハ深(ふか)シ[二]翠(すい)微(び)ニ[一]。

典籍

御定全唐詩 《欽定四庫全書》本

参考資料


  1. 「春来」ともする。 ↩︎

  2. 「鐘鳴」ともする。 ↩︎