書き下し文

丞相の祠堂、何れの処にか尋ねん

錦官城外、柏森森

階に映ずる碧草、自ずから春色

葉を隔つる黄鸝、空しく1好音

三顧頻りに煩わす2天下の計りごと

両朝開き濟す老臣の心

師を出だして未だ捷たず 身先ず死す

長く英雄をして、涙、襟に滿た使む

訓読文

蜀(しょく)相(しょう)

杜(と)甫(ほ)

丞(じょう)相(しょう)ノ祠(し)堂(どう)何(いず)レノ處(ところ)ニカ尋(たず)ネン,

錦(きん)官(かん)城(じょう)外(がい)柏(はく)森(しん)森(しん)。

映(えい)ズル[レ]階(かい)ニ碧(へき)草(そう)自(おの)ズカラ春(しゅん)色(しょく),

隔(へだ)ツル[レ]葉(は)ヲ黄(こう)鸝(り)空(むな)シク好(こう)音(いん)。

三(さん)顧(こ)頻(しき)リニ煩(わずら)ワス天(てん)下(か)ノ計(はか)リゴト,

兩(りょう)朝(ちょう)開(ひら)キ済(な)スス老(ろう)臣(しん)ノ心(こころ)。

出(いだ)シテ[レ]師(し)ヲ未(いま)ダ捷(か)タズ身(み)先(ま)ズ死(し)ス,

長(なが)ク使(し)ム[二]英(えい)雄(ゆう)ヲシテ涙(なみだ)滿(み)タ[レ]襟(えり)ニ[一]。

典籍

杜工部詩集 - (明)朱鶴齡

参考資料


  1. 「多く」ともする。 ↩︎

  2. 「頻繁」ともする。 ↩︎