西塞山懷古

書き下し文

西晉1の樓船 益州より下り

金陵の王氣 黯然2として収まる

千尋の鐡鎖 江底に沈み

一片の降幡 石頭より出ず

人世幾回か 往事を傷む

山形舊に依って 寒流3に枕す

今、四海を家と爲すの日に逢い4

故壘は蕭蕭たり 蘆荻の秋

訓読文

西(せい)塞(さい)山(ざん)懷(かい)古(こ)

劉(りゅう)禹(う)錫(しゃく)

西(せい)晉(しん)ノ樓(ろう)船(せん)下(くだ)リ[二]益(えき)州(しゅう)ヨリ[一],

金(きん)陵(りょう)ノ王(おう)氣(き)黯(あん)然(ぜん)トシテ收(おさ)マル。

千(せん)尋(じん)ノ鐡(てつ)鎖(さ)沈(しず)ミ[二]江(こう)底(てい)ニ[一],

一(いっ)片(ぺん)ノ降(こう)幡(はん)出(い)ズ[二]石(せき)頭(とう)ヨリ[一]。

人(じん)世(せい)幾(いく)回(かい)カ傷(いた)ム[二]往(おう)事(じ)ヲ[一],

山(さん)形(けい)依(よ)リテ[レ]舊(きゅう)ニ枕(まくら)ス[二]寒(かん)流(りゅう)ニ[一]。

今(いま)逢(あ)ヒ[二]四(し)海(かい)ヲ為(な)ス[レ]家(いえ)ト日(ひ)ニ[一],

故(こ)壘(るい)ハ蕭(しょう)蕭(しょう)タリ蘆(ろ)荻(てき)ノ秋(あき)。

典籍

御定全唐詩 (《摛藻堂四庫全書薈要》本)

参考資料

  • 公益社団法人 関西吟詩文化協会 www.kangin.or.jp
  • 御定全唐詩 (《摛藻堂四庫全書薈要》本)(中国語) ctext.org

  1. 「王濬」ともする。 ↩︎

  2. 「漠然」ともする。 ↩︎

  3. 「江流」ともする。 ↩︎

  4. 「従」ともする。 ↩︎