旅夜懐ひを書す(旅夜書懐)

書き下し文

細草微風の岸、

危檣独夜の舟。

星垂れて平野闊く、

月湧いて大江流る。

名は豈に文章にて著れんや、

官は応に1老病にて休むべし。

飄飄2何の似る所ぞ、

天地3の一沙鷗。

訓読文

旅(りょ)夜(や)書(しょ)[レ]ス懐(おも)ヒヲ

杜(と)甫(ほ)

細(さい)草(そう)微(び)風(ふう)ノ岸(きし),

危(き)檣(しょう)獨(どく)夜(や)ノ舟(ふね)。

星(ほし)垂(た)レテ平(へい)野(や)濶(ひろ)ク,

月(つき)湧(わ)キテ大(たい)江(こう)流(なが)ル。

名(な)ハ豈(あ)ニ文(ぶん)章(しょう)モテ著(あらわ)レンヤ,

官(かん)ハ應(まさ)ニ老(ろう)病(びょう)ニテ休(や)ムベシ。

飄(ひょう)飄(ひょう)何(なん)ノ所(ところ)ゾ[レ]似(に)ル,

天(てん)地(ち)ノ一(いっ)沙(さ)鷗(おう)。

典籍

杜工部詩集 - (明)朱鶴齡

参考資料

  • くらすらん - 国語(古文・漢文・現代文)と語学の関連情報・関連書籍を紹介するブログ nbataro.blog.fc2.com
  • Web漢文大系 kanbun.info
  • 杜工部詩集 - (明)朱鶴齡(中国語) ctext.org

  1. 「に因よりて」ともする。 ↩︎

  2. 「飄零」ともする。 ↩︎

  3. 「天外」ともする。 ↩︎