零丁洋を過ぐ

書き下し文

辛苦遭逢 一經より起こる

干戈落落たり 四周星

山河破碎1 風絮を抛ち2

身世飄揺3 雨萍を打つ

皇恐灘頭 皇恐を説き

零丁洋裏4 零丁を嘆く

人生古自り 誰か死無からん

丹心を留取して 汗青を照らさん

訓読文

過(す)グ[二]零(れい)丁(てい)洋(よう)ヲ[一]

文(ぶん)天(てん)祥(しょう)

辛(しん)苦(く)遭(そう)逢(ほう)シ起(お)コル[二]一(いっ)経(けい)ヨリ[一],

干(かん)戈(か)落(らく)落(らく)タリ四(し)周(しゅう)星(せい),

山(さん)河(が)破(は)碎(さい)風(かぜ)抛(なげう)チ[レ]絮(じょ)ヲ,

身(しん)世(せい)飄(ひょう)揺(よう)雨(あめ)打(う)ツ[レ]萍(へい)ヲ。

皇(こう)恐(きょう)灘(だん)頭(とう)説(と)キ[二]皇(こう)恐(きょう)ヲ[一],

零(れい)丁(てい)洋(よう)裏(り)歎(なげ)ク[二]零(れい)丁(てい)ヲ[一]。

人(じん)生(せい)自(よ)リ[レ]古(いにしえ)誰(たれ)カ無(な)カラン[レ]死(し),

留(りゅう)[二]取(しゅ)[三]シテ丹(たん)心(しん)[一]ヲ照(て)ラサン[二]汗(かん)青(せい)ヲ[一]。

典籍

宋文文山先生全集


香山縣志 (道光)

参考資料


  1. 「破乱」ともする。 ↩︎

  2. 「漂わし」ともする。 ↩︎

  3. 「浮沈」ともする。 ↩︎

  4. 「上」ともする。 ↩︎