樂天の揚州に初めて席上に逢えるときに贈らるに酬いる(酬樂天揚州初逢席上見贈)

書き下し文

巴山、楚水、淒涼の地、

二十三年 身を棄置きちす。

舊を懷しみ空しく吟ず、聞笛の賦、

鄕に到って、翻って似る、爛柯の人。

沈舟の側畔、千帆過ぎ、

病樹の前頭、萬木の春。

今日、君より聽く歌、一曲、

暫く杯酒に憑いて、精神を長ぜん。

訓読文

酬(むく)ユ[下]樂(らく)天(てん)ノ揚(よう)州(しゅう)ニ初(はじ)メテ逢(あ)ヘル[二]席(せき)上(じょう)[一]ニ見(とき)ニ贈(おく)ラルニ[上]

劉(りゅう)禹(う)錫(しゃく)

巴(は)山(ざん)楚(そ)水(すい)淒(せい)涼(りょう)ノ地(ち),

二(に)十(じゅう)三(さん)年(ねん)棄(き)[二]置(ち)ス[三]身(み)ヲ[一]。

懷(なつか)シミ[レ]舊(ふるい)ヲ空(むな)シク吟(ぎん)ズ聞(ぶん)笛(てき)ノ賦(ふ),

到(いた)リテ[レ]鄕(きょう)ニ翻(ひるがえ)ッテ似(に)ル爛(らん)柯(か)ノ人(ひと)。

沈(ちん)舟(しゅう)ノ側(そく)畔(はん)千(せん)帆(ぱん)過(す)ギ,

病(びょう)樹(じゅ)ノ前(ぜん)頭(とう)萬(ばん)木(ぼく)ノ春(はる)。

今(きょ)日(う)聽(き)ク[レ]君(きみ)ヨリ歌(うた)一(いっ)曲(きょく),

蹔(しばら)ク憑(つ)キテ[二]盃(はい)酒(しゅ)ニ[一]長(ちょう)[二]ゼン精(せい)神(しん)ヲ[一]。

典籍

劉禹錫外集(民國嘉業堂本)

参考資料