客至る

書き下し文

舍南 舍北 皆 春水、

但だ見る1、群鴎の日日に来るを。

花経、曾て客に縁りて掃わず。

蓬門、今始めて君が為に開く。

盤飧、市遠くして兼味無く。

樽酒、家貧にして只だ旧醅あるのみ。

肯て鄰翁と相対して飲まんや、

籬を隔てて呼び取りて、余杯を尽くさしめん。

訓読文

客(きゃく)至(いた)る

杜(と)甫(ほ)

舍(しゃ)南(なん)舍(しゃ)北(ほく)皆(みな)春(しゅん)水(すい),

但(た)ダ見(み)ル羣(ぐん)鴎(おう)ノ日(にち)日(にち)ニ来(きた)ルヲ。

花(はな)徑(みち)不(ず)[二]曾(かつ)テ縁(よ)リテ[レ]客(きゃく)ニ掃(はら)[一]ワズ,

蓬(ほう)門(もん)今(いま)始(はじ)メテ為(ため)ニ[レ]君(きみ)ガ開(ひら)ク。

盤(ばん)飧(そん)市(いち)遠(とお)クシテ無(な)ク[二]兼(けん)味(み)[一],

樽(そん)酒(しゅ)家(いえ)貧(ひん)ニシテ只(た)ダ舊(きゅう)醅(ばい)アルノミ。

肎(あえ)テ與(と)[二]鄰(りん)翁(おう)[一]相(あい)對(たい)シテ飲(の)マンヤ,

隔(へだ)テテ[レ]籬(かき)ヲ呼(よ)ビ取(と)リテ盡(つ)クサシメン[二]餘(よ)杯(はい)ヲ[一]。

典籍

杜工部詩集 - (明)朱鶴齡

参考資料

  • 石飛博光のちょっと書いてみたい漢詩 (石飛博光 著/小学館) ameblo.jp
  • 杜工部詩集 - (明)朱鶴齡(中国語) ctext.org

  1. 「但だ有る」ともする。 ↩︎