咸陽城東の樓

書き下し文

一たび高城に上れば 萬里愁う

蒹葭楊柳 汀洲に似たり

溪雲初めて起こって 日、閣に沈み

山雨來らんと欲して 風、樓に滿つ

鳥は綠蕪に下る 秦苑の夕べ

蝉は黄葉に鳴く 漢宮の秋

行人問うこと莫れ 當年の事

故國東來 渭水流る

訓読文

咸(かん)陽(よう)城(じょう)東(とう)の樓(ろう)

許(きょ)渾(こん)

一(ひと)タビ上(のぼ)レバ[二]高(こう)城(じょう)[一]ニ萬(ばん)里(り)愁(うれ)フ,

蒹(けん)葭(か)楊(よう)柳(りゅう)似(に)タリ[二]汀(てい)洲(しゅう)ニ[一]。

溪(けい)雲(うん)初(はじ)メテ起(お)コッテ日(ひ)沈(しず)ミ[レ]閣(かく)ニ,

山(さん)雨(う)欲(ほっ)シテ[レ]來(きた)ラント風(かぜ)滿(み)ツ[レ]樓(ろう)ニ。

鳥(とり)ハ下(くだ)ル[二]綠(りょく)蕪(ぶ)ニ[一]秦(しん)苑(えん)ノ夕(ゆう)ベ,

蝉(せみ)ハ鳴(な)ク[二]黄(こう)葉(よう)ニ[一]漢(かん)宮(きゅう)ノ秋(あき)。

行(こう)人(じん)莫(なか)レ[レ]問(と)フコト當(とう)年(ねん)ノ事(こと)[一],

故(こ)國(こく)東(とう)來(らい)渭(い)水(すい)流(なが)ル。

典籍

丁卯集笺註

参考資料