官軍の河南河北を収むるを聞く(聞官軍収河南河北)

書き下し文

劍外忽ち傳ふ、薊北を收むと

初めて聞いて、涕涙衣裳に滿つ

卻って妻子を看れば、愁ひ何くにか在る

漫に詩書に捲んで喜んで狂せんと欲す

白日1放歌して須く酒を縱にすべし

青春伴を作し、郷に還るに好し

即ち巴峽より巫峽を穿ち

便ち襄陽に下って洛陽に向かわん

訓読文

聞(き)[三]ク官(かん)軍(ぐん)ノ收(おさ)ムルヲ[二]河(か)南(なん)河(か)北(ほく)ヲ[一]

杜(と)甫(ほ)

劍(けん)外(がい)忽(たちま)チ傳(つた)フ收(おさ)ムルト[二]薊(けい)北(ほく)ヲ[一],

初(はじ)メテ聞(き)イテ涕(てい)涙(るい)滿(み)ツ[二]衣(い)裳(しょう)[一]ニ。

却(かえ)ッテ看(み)レバ[二]妻(さい)子(し)[一]ヲ愁(うれ)ヒ何(いず)クニカ在(あ)ル,

漫(そぞ)ロニ巻(ま)イテ[二]詩(し)書(しょ)[一]ヲ喜(よろこ)ンデ欲(ほっ)ス[レ]狂(きょう)セント。

白(はく)日(じつ)ニ放(ほう)歌(か)シテ須(すべか)ラク縦(ほしいまま)ニスベシ[レ]酒(さけ)ヲ,

青(せい)春(しゅん)作(な)[レ]シ伴(はん)ヲ好(よ)[レ]シ還(かえ)[レ]ルニ郷(きょう)[レ]ニ。

卽(すなわ)チ從(より)[二]巴(は)峽(きょう)[一]穿(うが)[二]チ巫(ふ)峽(きょう)ヲ[一],

便(すなわ)チ下(くだ)ッテ[二]襄(じょう)陽(よう)[一]ニ向(むか)ワン[二]洛(らく)陽(よう)[一]ニ。

典籍

杜工部詩集 - (明)朱鶴齡

参考資料

  • ティェンタオの自由訳漢詩 杜甫169ー173 blog.goo.ne.jp
  • 杜工部詩集 - (明)朱鶴齡(中国語) ctext.org

  1. 「白首」ともする。 ↩︎