飲酒(其五)

書き下し文

盧を結びて人境にあり

而も車馬の喧しき無し

君に問う何ぞ能く1爾ると

心遠ければ地自ずから偏なり

菊を采る東籬の下

悠然2として南山を見る3

山気日夕に佳く

飛鳥相与に還る

此の中4に真意有り

弁ぜんと欲して已に5言を忘る

訓読文

飲(いん)酒(しゅう)

其(そ)ノ五

陶(とう)淵(えん)明(めい)

結(むす)ビテ[レ]盧(いおり)ヲ在(あ)リ[二]人(じん)境(きょう)ニ[一],

而(しか)モ無(な)シ[二]車(しゃ)馬(ば)ノ喧(かまびす)シキ[一]。

問(と)フ[レ]君(きみ)ニ何(なん)ゾ能(よ)ク爾(しか)ルト,

心(こころ)遠(とお)ケレバ地(ち)自(おのずか)ラ偏(へん)ナリ。

採(と)ル[レ]菊(きく)ヲ東(とう)籬(り)ノ下(もと),

悠(ゆう)然(ぜん)トシテ見(み)ル[二]南(なん)山(ざん)ヲ[一]。

山(さん)氣(き)日(にっ)夕(せき)ニ佳(よ)ク,

飛(ひ)鳥(ちょう)相(あい)與(とも)ニ還(かえ)ル。

此(こ)ノ中(うち)ニ有(あ)リ[二]真(しん)意(い)[一],

欲(ほっ)シテ[レ]辯(べん)ゼント已(すで)ニ忘(わす)ル[レ]言(げん)ヲ。

典籍

陶淵明詩

参考資料

  • くらすらん - 国語(古文・漢文・現代文)と語学の関連情報・関連書籍を紹介するブログ nbataro.blog.fc2.com
  • 陶淵明詩 (中国語) ctext.org

  1. 「為に」ともする。 ↩︎

  2. 「時時」ともする。 ↩︎

  3. 「望む」ともする。 ↩︎

  4. 「還」ともする。 ↩︎

  5. 「忽ち」ともする。 ↩︎