憤りを書す

書き下し文

早歳那ぞ知らん 世事の艱きを

中原北望して 氣 山の如し

樓船夜雪 瓜洲の渡

鐵馬秋風 大散關

塞上の長城 空しく自ら許すも

鏡中の衰鬢 已に先ず斑なり

出師の一表 眞に世に名あり

千載誰か堪えん 伯仲の間

訓読文

書(しょ)ス[レ]憤(いきどお)リヲ

陸(りく)游(ゆう)

早(そう)歳(さい)那(なん)ゾ知(し)ラン世(せ)事(じ)ノ艱(かん)キヲ,

中(ちゅう)原(げん)北(ほく)望(ぼう)シテ氣(き)如(ごと)シ[レ]山(やま)ノ。

樓(ろう)船(せん)夜(よ)雪(せつ)瓜(か)洲(しゅう)ノ渡(わたし),

鐵(てつ)馬(ば)秋(しゅう)風(ふう)大(だい)散(さん)關(かん)。

塞(さい)上(じょう)ノ長(ちょう)城(じょう)空(むな)シク自(みずか)ラ許(ゆる)スモ,

鏡(きょう)中(ちゅう)ノ衰(すい)鬢(びん)已(すで)ニ先(ま)ズ斑(まだら)ナリ。

出(すい)師(し)ノ一(いっ)表(ぴょう)真(まこと)ニ名(な)アリ[レ]世(よ)ニ,

千(せん)載(ざい)誰(たれ)カ堪(た)エン伯(はく)仲(ちゅう)ノ間(かん)。

典籍

劍南詩鈔

参考資料